こんにちは、かねまるです!
デイサービスで働いていると、聞こえてるはずなのにコミュニケーションが上手く取れない、そんな認知症の利用者さんとお話することがあります。
- なんだか話をちゃんと聞いてもらってない気がする
- そうですかって言っても、違うんですかって言っても「そうそう」って言う
- 何とか話を聞いて貰えないかな
デイで勤め始めた最初の頃、認知症のある利用者さんに対して思っていたことです。
今思えばアクションのとり方が間違っていただけなんですけどね(^_^;)
デイで働き始めて五年経った今では、もちろん解決方法も見出だせています。
- 認知症の利用者さんに話しかけるコツは「私を認知してもらう」
- 感覚認知しやすい声の掛け方をする
- コミュニケーション認知しやすいタイミングで声掛けをする
- 4ステップで徐々に伝えたいことに近づいていく
今回は、介護を始めたばかりの頃の私と同じような悩みを抱えている方に向けたお話です。
そもそもあなたは「認知」してもらってる?
- 前からしっかりと声をかけてるんだから、ちゃんと聞こえてるでしょ
- 声掛けに反応しているんだけどなぁ
なのに認知症のせいでちゃんとした反応をしてくれない。
こちらの指示やお願いが伝わらない。
どうしてなのか、しばらく悩みましたねー。
ですが、BPSDケアなどを勉強する過程で、ヒントが出てきました。

高齢者が会話やコミュニケーションを認知するには、段階がある気がする…。
そんなことを考えながら介護をしていると、それは確信へと変わっていきました。
そう、高齢者の会話認知には段階があります。(断言)
- 聴覚、視覚など五感で相手の存在を認知する(感覚認知)
- その相手が自分に伝えたいことがあると認知する(コミュニケーション認知)
認知してもらえていないのはコミュニケーション認知の段階で止まっているか、さらにその前の感覚認知の段階で止まっているということです。
逆に言えば、1→2の手順を正しく踏むことによって、相手に会話しようとしていることを認知してもらうことが可能になります。
感覚認知
聴覚、視覚などで正しく認知できているか、ということです。
老人性難聴や視野狭窄によって、我々が思っている以上に高齢者の方は周りの状況を認知できていません。
- 右耳が遠いため、右側からの声掛けが認知出来ない
- 視界の中央しか見えないため、横から手を振られても気付かない
こういったことが実際に起こります。
そのため、相手の五感に積極的に働きかける必要があります。
見える位置に立つ、聞こえやすい耳から話しかけるなどの相手の状況に配慮した行動が必要です。
- 視界の中央に入るよう、まっすぐ前から話しかける
- 口の動きをはっきりする
- ゆっくりとしゃべる
これらを行うことによって、大前提の「あなたがそこにいる」という感覚認知をしてもらえます。
コミュニケーション認知
相手に存在を認知してもらうのは、あくまで第一歩です。
次は話しかけようとしている行動を認知してもらう必要があります。
- なんか声をかけてきているなぁ
- 何の用だかわからないけど、うるさいなぁ
これくらいの認識で終わっている場合が多々あります。
要は、「あなたに伝えたいことがあるんですよ」ってことが伝わってない状況です。
これがかなり多いんです!!!
ここで諦めないで、じっくりと前から、ゆっくりと、認知しやすいように話しかけましょう。
- 喋っているときは、落ち着くまで傾聴する
- 落ち着いたことを見計らって、まずはお名前だけを呼ぶ
これらをしっかりと行うことによって、「ああ、何か用があって話しかけてきてるんだな」と、コミュニケーションを求められていることを認知できます。
これがコミュニケーション認知です。
コミュニケーション認知を達成するには、短文で話しかけるのも非常に有効です。
詳しくはこちらの記事をご確認下さい。
「私を認知してもらう」ための4ステップ
- 認知してもらえていないのはわかったけど、具体的に何をすれば良いんだろう
- わかりやすい手順とかないのかな
あります!(笑)
下記は私が認知症の人に話しかけたり何かお願いをする時の手順です。
これを意識するだけでかなり相手に話が伝わりやすくなりますよ(๑•̀ㅂ•́)و✧
- 少し離れた位置で視界に入り、声掛けをする
- 認識している状態を保ちながら近づく
- ひとしきり喋ってもらってから、再度名前を呼ぶ
- 表情や口の動きを意識しながら話しかける
これだけです!
実際のデイサービスでの例を使って、詳しく解説していきます。
少し離れた位置で視界に入り、声掛けをする
高齢者の方は聴覚や視覚が衰えているため、感覚認知が衰えています。
そのため横から急に話しかけると驚かせてしまうことがあります。
ある程度離れた位置から視界に入り、声掛けをしていきましょう。

〇〇さーん!
(トイレに誘導しよう)

なぁに?
認識している状態を保ちながら近づく
一度認識してもらえれば、感覚認知は達成です!
近づいてお話をしても驚きません。

用があるんだよ〜
(にっこり)
って雰囲気で近づいていきましょう。
できれば相手の視界に収まるように近づいていくと、「何か用があるんだな」ってことが伝わりやすいです。
ひとしきり喋ってもらってから、再度名前を呼ぶ
話しかけると相手側から話してくることが多々あります。
こちらに用事があるかどうかなんてお構いなし!ってやつですね(笑)
そんな時はある程度お話を聞きましょう。

私は昔〇〇で勤めててね。
先輩ってことで色んな子たちに仕事を教えたのよ
それで✕✕が△△で…

(ん?だいぶお話されて満足してきたかな?そろそろ声をかけよう)
〇〇さん。
必ず会話に隙が出てきますので、そこでお声掛けします。
はっきり、ゆっくりとお名前を呼びましょう。

ん?なぁに?
ようやくコミュニケーション認知を達成できました!
「用がある」ということが伝わった状態です。
表情や口の動きを意識しながら話しかける
ついに用事を伝える時が来ました!(笑)

トイレに行きましょう!

そうね。お手洗いはどちらだったかしら?
この時、相手が理解しやすいように口の動きをわかりやすく見せましょう。
トイレの方を指差すのも良いですね。
感覚認知しやすい声の掛け方は通常時から行うことがベストと言えます。
まとめ!!
- 認知症の利用者さんに話しかけるコツは「私を認知してもらう」
- 感覚認知しやすい声の掛け方をする
- コミュニケーション認知しやすいタイミングで声掛けをする
- 4ステップで徐々に伝えたいことに近づいていく

これを意識して行うと、今までお願いしてもダメだった
「静養室で横になりましょう」
「トイレに行きましょう」
などが伝わりやすくなりました!
特に話を認識できているか怪しいと思う利用者さんには効果てきめんでしたね。
今回は認知症の利用者さんに特化した表現でしたが、認知症でない利用者さんにも急に横から話しかけるのはNGです。
驚かれちゃいますからね!
ではまた!!
コメント